はじめに

未来明るく電力 モダナイゼーション 用語集

本サイトで用いる用語をまとめた。前半は電力業界・未来明るく電力の業務用語、後半は dele が用いるレガシー資産評価・モダナイゼーションの用語である。


1. 電力業界・業務用語

1.1 制度・市場

用語読み意味
発送電分離はっそうでんぶんり発電部門と送配電部門を法的・機能的に分離する制度。送配電網の中立性を確保する。基幹システム分割・託送業務の起点
電力自由化でんりょくじゆうか小売の全面自由化。多様な料金メニューと事業者間のスイッチングが生じ、CIS(料金系)の複雑化を招いた
託送たくそう小売事業者が送配電網を借りて電力を届ける仕組み。その対価が託送料金。領域Dの託送業務(TS)が担当
託送料金制度たくそうりょうきんせいどレベニューキャップ方式等で送配電会社の収入上限を規制する制度。制度改正のたびに精算ロジックの改修が必要
インバランス計画値と実需給の差分。過不足を事後に精算する。領域Dのインバランス精算(IB)、テーブル IMBALANCE が対応
JEPXジェイイーピーエックス日本卸電力取引所。スポット・時間前市場等で電力を売買する。領域Dの卸電力取引(TR)、テーブル TORIHIKI が約定を管理
容量市場ようりょうしじょう将来の供給力(kW)を取引する市場。中長期の設備維持を評価する。制度対応で需給・取引系に改修が及ぶ
需給調整市場じゅきゅうちょうせいしじょう周波数調整・需給バランス調整力(ΔkW)を取引する市場。領域Cの需給運用と密接に連携
スイッチング需要家の小売事業者切替手続き。領域Dのスイッチング(SW)が担当
レジリエンス災害・大規模停電に対する回復力・強靭性。領域Bの設備・停電管理が支える

1.2 需給・系統運用

用語読み意味
需給じゅきゅう電力の需要と供給。両者を常に一致させ続けることが系統運用の使命。需給計画(JK)、テーブル JUKYU
給電指令きゅうでんしれい中央給電指令所から発電所・系統への出力・切替指示。給電指令(KD)、テーブル KYUDEN(指令log)
系統けいとう発電・送電・変電・配電がつながった電力ネットワーク全体。系統運用(KT)が安定運用を担う
予備力よびりょく需要急増や設備トラブルに備えて確保する供給余力。予備力管理(YB)が管理
需要予測じゅようよそく気象・曜日等から将来需要を予測する。領域Dの需要予測(YS)。取引・需給計画の前提になる

1.3 料金・顧客 / 設備

用語読み意味
CISシーアイエスCustomer Information System。検針・料金計算・収納・契約・顧客対応を担う料金顧客系(領域A)
検針けんしん需要家の電力使用量を計測・取得する業務。検針管理(KN)、テーブル KENSHIN(検針実績)
スマートメーター / 次世代検針通信機能を持つ電力量計。人手検針から自動取得への移行。CISの検針・料金ロジックに影響
料金計算りょうきんけいさん使用量と契約種別・単価に基づき請求額を算定。料金計算(RY)、テーブル RYOKIN(料金計算結果)
収納・消込しゅうのう・けしこみ入金の受付と請求への突き合わせ(消込)。収納・消込(SU)、テーブル NYUKIN(入金明細)
契約けいやく需要家との供給契約。契約管理(KY)、テーブル KEIYAKU(契約マスタ)
設備台帳せつびだいちょう電柱・変圧器・電線路等の設備情報。設備台帳(SB)、テーブル SETSUBI
工事管理こうじかんり設備の新設・更新・撤去工事の計画と実績。工事管理(KJ)、テーブル KOUJI
保全計画ほぜんけいかく設備の点検・更新計画。保全計画(HZ)
停電ていでん計画停電・事故停電の管理。停電管理(TD)、テーブル TEIDEN(停電実績)。レジリエンスに直結

1.4 サブシステム・コード体系

未来明るく電力の各領域はサブシステム単位に分かれ、2文字のコードで識別される。プログラム名・テーブル名の解読の手がかりになる。

領域名称サブシステム(コード)
領域A料金・顧客情報(CIS)検針管理(KN)・料金計算(RY)・収納/消込(SU)・契約管理(KY)・顧客対応CRM(CS)
領域B送配電設備管理設備台帳(SB)・工事管理(KJ)・保全計画(HZ)・図面/GIS(GS)・停電管理(TD)
領域C需給運用・給電需給計画(JK)・給電指令(KD)・系統運用(KT)・予備力管理(YB)
領域D電力取引・託送卸電力取引JEPX(TR)・インバランス精算(IB)・託送業務(TS)・スイッチング(SW)・需要予測(YS)
共通全社基盤マスタ管理(MS)・帳票基盤(CH)・連携基盤ESB(RN)・認証/権限(NB)・バッチ基盤(BT)

1.5 代表テーブル名

テーブル意味主な領域
KENSHIN検針実績領域A
KEIYAKU契約マスタ領域A
RYOKIN料金計算結果領域A
NYUKIN入金明細領域A
SETSUBI設備台帳領域B
KOUJI工事管理領域B
TEIDEN停電実績領域B
JUKYU需給計画領域C
KYUDEN給電指令ログ領域C
TORIHIKI取引約定領域D
IMBALANCEインバランス領域D
TAKUSO託送料金領域D

1.6 レガシー言語

言語説明
COBOL / JCLメインフレームの請求系・共通バッチ。最も古く、要員高齢化が進む層
VB6 / VB6 Form2000年代のクライアント/サーバー画面。ランタイムEOLのリスクが高い
VB.NET / C#.NET系の業務アプリ。VB6からの移行世代
Java自由化以降のWeb・市場対応(領域D中心)
PL/SQL / SQL Scriptデータ加工・バッチ処理のストアド/スクリプト
Shell / Windows Batchジョブ起動・連携の実行制御

2. dele 定義の用語(レガシー資産評価・モダナイゼーション)

2.1 資産評価の基本概念

用語意味
レガシー長年運用されてきた旧世代のシステム資産。価値はあるが、技術・要員・仕様書の面で保守が困難になっているもの
分身環境本番に一切触れずに dele 社内へ再現した、そっくりの検証環境。業務を止めるリスクゼロで停止シミュレーションができる
依存グラフプログラム・テーブル・仕様書を節点、呼び出し/読み書きを辺として資産全体のつながりを表した図。全体像把握の土台
死活推定プログラムが今も使われているか(現役)、使われていないか(休眠/死亡)を証拠から推定すること。確証ではなく推定
EOLEnd of Life。ハードウェア・OS・ミドルウェア・言語ランタイムのサポート終了。放置は障害・セキュリティのリスク源
塩漬け「読める人がいない・触ると壊れそう」で改修を止めた状態。制度改正への俊敏性を損なう

2.2 死活推定の5つの証拠(採点ルーブリック)

プログラム1本を100点満点で採点し、稼働の蓋然性を推定する。必ず「推定」と明記する(実稼働の確証ではない)。

証拠配点確かめること
① 実データの動き最大30点読み書きするテーブルに実データが動いた形跡があるか
② つながり最大25点依存グラフで他プログラムと呼び合っているか
③ 実行のきっかけ最大20点日次/月次/随時など実行契機が運用に組み込まれているか
④ 仕事量最大15点テーブルへの読み書き操作数
⑤ 仕様書最大10点設計意図が文書として維持されているか

判定: 50点以上=推定現役 / 20〜49点=推定休眠 / 20点未満=推定死亡

2.3 移行戦略(Retire / Keep / Wrap / Refactor / Modernize)

採点結果とビジネス価値から、プログラムごとに取り扱い方針を決める。

用語意味
Retire廃止。稼働の証跡がなく価値も低い資産を、ログでの最終確認を経て停止・削除する
Keep現状維持。健全に稼働し当面手を入れる必要がない資産(例: 領域Cの需給・給電系)はそのまま活かす
WrapAPI化。中身は残したまま外部インターフェース(API)で包み、新システムから安全に呼び出す
Refactor段階改善。構造を整理しつつ既存資産を活かして改善する
Modernize刷新。新技術で作り直す(リライト)。低〜中複雑度の資産が対象になりやすい

2.4 移行手法・並行稼働

用語意味
ストラングラーパターンMartin Fowler 提唱の段階的移行手法。依存グラフの外縁(リーフ)から新システムへ置換し、旧システムを徐々に「絞め殺す」
ストラングラーファサードレガシーと新システムの間に置くファサード層。呼び出し先を旧/新へ振り分け、段階移行を成立させる
並行稼働旧と新を一定期間同時に動かし、出力を突き合わせて等価性を確認しながら安全に切り替える運用
ゴールデンマスターテスト既存システムの入出力を記録し、移行後も同じ出力になることを検証する手法。「正しさ」ではなく「変わっていないこと」を保証
新旧突合同一入力に対する旧システムと新システムの出力を比較し、差分を検出するテスト

2.5 全体像復元の考え方

用語意味
呼び出し痕跡復元実物ソースが無いプログラムを、呼び出す側のコードや実行手順の痕跡から「存在・役割・つながり」を推定し地図に描き戻す
推定現役5証拠の合計50点以上。稼働している蓋然性が高いと推定される状態
推定休眠合計20〜49点。稼働の証跡が弱く、停止候補と推定される状態
推定死亡合計20点未満。稼働の証跡がほぼ無く、廃止候補と推定される状態
確証オーバーレイ推定判定は書き換えず、現場・ログで確認できた事実だけを重ねて確度を高める運用の考え方

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